「──なにしてんの、」
「ぅわぁっ」
私が想像していたのは、インターホン越しに朔の声が聞こえてくること。
まさか後ろから声がかかるなんて、思ってもみなかった。
制服から私服に着替えていた朔は、びっくりして飛び跳ねた私に眉を寄せてた。
うぅ、今までは平気だったのに。
朔のことが好きだって意識したとたん、ただの私服姿にドギマギしてしまうっ。
だってずるいよ。普段はしてないくせに、ピアスもリングもしてるんだもん。
「ふ、不覚……」
「なにが」
「いやなんでも……そっちこそ何してたの」
「夜の散歩」
「そう、なんだ」
「澪は?こんな時間に、こんなとこまで何しに来たの」
「ていうか1人で来たの?」なんて、まるでありえないって思っているかのような朔。