「私、朔は甘いものが好きってことしか知らないし」
「あぁ、そうだね。澪が教えてくれた」
「もっと他にもあるでしょ?満員電車は嫌とか、1人の時間が好きとかさ」
「澪が好きなものは俺も好きだ。
澪と一緒なら電車に乗るのも勉強をするのも、本を読むのも体動かすのも好きだよ」
「……本当に私がいればそれだけでいいんだ……」
「いつもそう言ってるだろ」
俺は澪がいればそれだけでいいよ。
「俺が前に言ったこと気にしてるんだろ」
俺の全部を知ったら澪が離れていくかもしれないって、そう言ったことを。
「……どうしてもって言うなら教えるけど、でもそれを知って俺のことが嫌になったとしても、俺は澪のことを手放すことはできない」