名前を聞けて、ただそれだけでよかった。

隣のクラスから、見てるだけでよかった。

でも、


『榛名くん!』『大丈夫!?』


前と同じように俺のところへと走ってきてくれた澪をみたら、もう手放したくないって、そう思った。

救ってくれた澪に傷跡を残したくせに。
このことを澪が思い出したら嫌われるかもしれないのに。

それでも、これだけは譲れなかった。

誰にも渡さない。今度は俺が澪を守る。なにがあっても守るから。

だから、澪に言ったんだ。



『なら、澪が俺のこと見張っててよ』