喧嘩は暇つぶしだったけど、足元で苦しそうに顔を歪ませる奴らを見るのは、なんとも言えない高揚感があって。
それだけが、生きる喜びだった。


晶みたいな手強い奴もいて、それなりに楽しんでいたとは思うけど。

でもやっぱり、自分の人生とかどうでもよくて、もう全部、なんでもよくて、殴られて感じる痛みをもって、ちゃんと生きてるって確認作業してるみたいだった。



中学3年の冬、ある雨の日、ぷつんと自分の中でなにかが切れた。

誰かに、めちゃくちゃに傷つけられたくなった。
よくわからないけど、そういう風に思った。

だから、夜の街で、誰彼構わずに喧嘩を売った。


殴って、殴られて、体中ぼろぼろで。
ようやく目の前にいる相手が誰もいなくなったと思ったら、切れた相手の1人がぞろぞろ仲間を連れて戻ってきた。