「──これだから、あいつに会わせたくなかったんだ」



小さく呟いた言葉は、まるで自分の独占欲の塊みたいなもので。

晶と光輝を見送る澪には、届いていないようだった。

澪は絶対、晶のことを見捨てないって、わかってた。
うっかり惚れさせるようなことも平気で言うだろうなって思ってた。


あの夜、澪を抱きしめて離そうとしなかった晶を見た時、予想通りの状況に嫌気がさした。


案の定、晶に告白されてるし。
嫌になる。

もうこれ以上、その優しさを振り撒くのはやめてくれ。



『──そんな顔して、放っておけるわけないでしょっ!?』



それは、俺にだけでいいだろ。



『……もしかして私たちって、中学の時に会ったことある?』



ぎゅっと、自分の手のひらを握りしめる。
……澪の言う通りだよ。

俺は、もうずっと前から、澪のことが何よりも大事だ。