「……あの、我慢できる?」
「むりだね。できそうにない。あいつ、今すぐ潰してもいい?」
「ダメっ。ここでは優等生なんでしょ」
私も警戒心がなかったことは謝るからさ。ね。我慢して。
「おい」
その声に顔をあげると、校門から少し離れたところで晶がこっちを振り返っていた。
真っ直ぐに私を見つめて、口元には微かに笑顔を浮かべて。
「澪、今まで出会った奴の中で、おまえが一番好きだ」
スッと届いた声が、心に染み込む。
純度100%の、素直な言葉。
「……ありがとう!」
片手をあげる晶の背中が見えなくなるまで、私は目を逸さなかった。