熱で頭が回らないせいか。
朔の独占欲にあてられたせいか。
理性が、どこかにいってしまったみたい。
「むり」
その言葉と、ベッドの軋む音が同時に響いた。
目を見開くと同時に、朔の手が私のネクタイに触れる。
「悪いけど、死んでも忘れない。」
ドッ、と体の真ん中が鳴った。
朔の黒い瞳が、ぎらりと光っている。
「もう嫌だって泣いて叫んでも、絶対に離してやらないから」
「……はなさないで、いいよ」
ぎゅぅっと、強く私を抱きしめた朔の瞳に、ようやく私の姿が映る。
「……頭、イカれてんね」
お互いにね。
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