「……嘘だよ」
数秒の沈黙の後、小さな声が部屋に響いた。
「……はは、余裕がなくて嫌になる。澪が他の男のものになるかもって考えただけで気がおかしくなりそう」
「さく……」
「どうすれば、澪の全部、俺のものになるんだろうね」
「……」
「……澪のお願いなら、なんでも叶えてあげるよ。叶えてあげられる自信がある。……だから、いい加減、俺のものになってよ」
その言葉に、ぎゅ、と手のひらを握りしめる。
黙ったままの私に、朔は力無く笑った。
ごめんね、と呟いて、私の頭を撫でて。
「寝てて。喉渇いたでしょ。水取ってくる」
……嫌になるのは、私だってそうだよ。
こんな、熱で朦朧としている時に首を掴まれて、怒られて、縛りつけるとか怖いこと言われて。