独り言のように呟く朔にムッとして口を開いた時。
朔が首の絆創膏に触れた。



「自分が誰のものなのか、ちゃんと理解しろよ」



低い声。ゾッとするほど冷たくて熱い瞳。

……熱を、思い出す。
昨日の、朔の熱を。



「これ、はがしちゃえば。」



ゆるりと目を細めて挑発的に笑う朔に、体中が熱くなったのがわかった。

……はがせるわけないし。馬鹿じゃないの。

朔の手を振り払って、逃げるように教室へと向かう。

心臓、いたい。ドキドキうるさい。


この絆創膏は、噛み跡を隠すものじゃない。



『上書きさせて、澪』



朔につけられたキスマークを隠すためのものって言ったら、奈子はきっとびっくりするだろうな。