"カフェのケーキ"
この単語に、朔がわかりやすく反応する。
「ごめんね」
私の首元を見ながらそう言うから、仕方ないなぁと笑った。
「その言葉は、もういやってほど聞いたよ」
放課後の廊下、あの人が窓から飛び降りた後、朔は首の噛み跡を見て言葉を失ってた。
私の声も、見回りの先生の声も、なにも聞こえていないみたいだった。
悲しそうで、泣きそうで。その奥には怒りの感情も垣間見えていて。
あの人にも、自分にも怒っているような気がした。
『……っごめん、本当にごめん……』
私のことを強く抱きしめて、朔はずっと謝っていた。
「……"守れなくて"、"巻き込んでごめん"って意味だと思うけど、そんなことはどうでもいいの。
朔が私のためにいっぱい考えてくれた。それだけで私は嬉しいんだよ」