不良、もうやめたんでしょ。
だから今優等生やってるんでしょ。
私じゃなくて、もっと自分のこと考えなよ。
「前にも言ったけど、俺の人生に澪がいなかったら意味がない」
そう言って、ぎゅうっとキツく抱きしめてくる朔。
喧嘩に慣れているし、何かあればすぐ暴力を振おうとするし、倫理観バグってるし。
ろくでもない奴ってわかっているのに……どうしてこんなに、惹かれるんだろう。
ブレザーが少し汚れている。
顔の傷は、大丈夫なのかな。
「アンタは、どうしてそんなにボロボロになってるの」
「……」
「朔」
「……6限の途中、晶が校舎裏に行くのが窓から見えたから」
授業中に教室を飛び出した朔の姿が頭の中に浮かんだ。
なんとなくわかったよ。
アンタがなにを考えていたのか。
「そこにいたのは知らない奴らだったけど」
「俺の高校の奴らだろ。晶が焚き付けて寄越したんだよ。まんまと罠にハマりやがって」