「っはなして!」
思いっきり男を突き飛ばして、噛まれた首に触れる。
指で触れただけで、深い歯形がついていることはすぐに分かった。
学ランの男をキッと睨む。
けど、男は私のことなんて全く気にしていない様子で、朔のことしか見ていなかった。
……コイツ、わざと朔を挑発してるの……?
「ほら、潰してみろよ、朔」
その声にハッとする。
一瞬で移動した朔が、もうすでに学ランの男に飛び込んで殴りかかろうとしていた。
やばい……っ!
「ふんっ!!」
気づいたら、学ラン男を渾身の力で思いっきり押してた。
なんとかしないと。
とにかくそういう気持ちでいっぱいだったから。