ジトッと朔を睨む。
「ふざけてるでしょ」
「まさか。澪は可愛い。これ一番大事」
「……」
「正義感あって困ってる奴放っておけなくて、良いことしてんのに自信なくして暗い顔してんの、いじらしくて可愛いよ」
プシューっと音を立てて電車のドアが開く。
先に乗り込む朔の背中を目で追った。
「そのままでいいよ。俺、そのままの澪が好き」
私の手を取って、ぐんっと引っ張り上げてくれた朔。
ドアがしまって、電車が動き出す。
「このまま澪と学校サボりたいなー」なんて、変なことを言う朔に、私は瞬きを繰り返す。
……なんか、さっき、サラッととんでもないこと言われたような気がしたんだけど……?