どうして私、もっと相手のことを考えられなかったんだろう。
どうして余計なこと言っちゃったんだろう。



「……って、ごめん、こんな暗い話しちゃって。なんか隣でぶつぶつ言ってんなーって、流してくれていいから」



電車が到着するアナウンスが流れる。

私のトラウマなんか朔に話してどうすんの。
恥ずかしいことしたな。

こんなんじゃ"らしくないね"って笑われるかも……



「アイツらがバカで良かった」
「え?」



ホームに電車が流れ込んできて、強い風が吹いた。
風のせいで乱れた私の髪を、朔がそっと耳にかける。



「澪の良いところは、俺だけが知ってればいいよ」

「……私の良いところってなに?」
「可愛いところ」