「何って、血を…」
そう言いかけて、言葉に詰まった朔
ボタンを外そうとしていた手をそっと下ろして
私の背中に寄りかかるように頭を寄せてきた
「…僕のこと怖い？」
『何で…』
「くーちゃん、少し震えてる」
相手に伝わるほど震えていた自覚はないのだが、
…朔のことを少し怖いと思っていたのは事実だ。
「無理矢理連れてきてごめん」
朔のことが、分からない
いつもの明るい朔だと思ったら、いきなり冷たい目をするし、と思ったらまた優しい朔に戻るし…
『…！』
そんな沈黙を破るかのように、私の携帯から着信音が鳴った
あの時天音くんに奪われたから没収されてると思っていたけど、普通にスカートのポケットに入っていた。
取り出して画面を見ると、“赤羽叶兎”の文字
天音くんの時と違って、朔は携帯を奪ってこようとはしてこない
…これは、出てもいいのだろうか？
