「でもでも、文化祭ってカップルにとっても一大イベントでしょ!?」


フルーツの入ったサンドイッチを頬張りながら心音ちゃんが言った。

確かに文化祭を好きな人と一緒に回るとか青春中の青春だし出来ることならそうしたいんだけど…


「何だ何だ?!」
「っおい!勝手に入るな」


とその時、なにやら教室の外が一気に騒がしくなった。

また誰かが喧嘩でも始めたのかなーなんて呑気なことを考えていたら、勢い良く大きな音を立てて教室の扉が開いた

さすがに他人事ではなさそうだ。


「…いたぞ!あいつだ」


数人の男が教室の中に押しかけてきて、教室一体を見渡したあと、間違いなく私を見てそう言った。

黒い特服に…

“BLACK SKY”

という水色の刺繍。

逃げなきゃ……!と思った時には教室の前の扉も後ろの扉もBSの男達に塞がれていた。


BSの治安の悪さは叶兎くんから聞いていたけど、教室にいた生徒たちはみんな怯えた表情で隅に固まっている。


「お前だな?朝宮胡桃は」


先頭に立っていた、銀色のメッシュの髪をハーフアップに纏めた背の高い男が私の前に立った

その威圧感に、1歩後ずさる


『……私に、何か用ですか』

「んなの答えるまでもねーだろ、ボスがあんたを呼んでんだ。一緒に来てもらおうか」