何かおかしいと思った私はジタバタと抵抗すると、
叶兎くんが血を吸うのをやめて口を離した

叶兎くんは口元から血を垂らしたまま私を見ていて
ぽた、と私の肌に血が垂れてくる

いつもこんなに飲まないのに、
明らかにおかしい。


「はぁ…はぁ…」


息遣いが荒くなっていて、
その鋭い視線で叶兎くんは私を見る


『叶兎くん、どうしたの?様子が変だよ…?』


叶兎くんは何かに耐えるように、
片方の手で自分の口を押さえた


「逃げ…ろ…」

『え…?』

「…抑え、られない…」


この時、私は目の前にいるのが何者なのか、はっきりとした

彼は吸血鬼で、吸血衝動があるのは彼の本能で

私なんかの力じゃ到底敵わない相手。

精一杯抵抗しても、覆い被さっている叶兎くんを押しのけることなんて出来ない


『っ…、やめて、叶兎くん…、』


噛み付くように私の血を吸う叶兎くん、

どれだけ血を吸われたのか自分では分からないけど
頭がクラクラして、明らかに血を吸われすぎている。