そもそも胡桃ちゃんはもう叶兎のものだし、流石に叶兎の恋人を横取りするつもりはない。

欲しくなっちゃったのは、本当なんだけどな。


「おい」


突然背後から聞き慣れた声が聞こえて、振り返るとそこには秋斗が立っていた。

…いつからいたんだ


「やあ秋斗。そんな怖い顔してどうしたの?」

「そっちこそ、こんな時間に2人で何してるんだ」

「帰ってきた時たまたま胡桃ちゃんがいてね、傷の手当てしてくれてたんだよ」


嘘は言ってない。これは事実だ


「何も、してないよな?」

「んー、それは保証できないかな!もうキスしちゃった」

「…は?!お前っ!つーか胡桃、俺警告したよな?」

『ご、ごめん』


おーこわこわ

でも胡桃ちゃんに“警告したよね”って怒るのは正しいと思うよ

あまりにも警戒心なさすぎだったから。


「秋斗が心配するようなことにはなってないよ。胡桃ちゃん純混血だから。俺への態度がそう示してる」

「純混血じゃなかったらどうするつもりだったんだよ…」

『2人とも、一体何の話…?』


こっちの話。

胡桃ちゃんは、まだ知らなくて良い