「悪い、ちょっとがっつき過ぎた。」


叶兎くんは口元についた血を拭いながら言った

普段から結構強引なとこあるけど今日はいつにも増して強引だ


「こっち向いて」


そう言われて叶兎くんの方を向くと、
おでこをコツンと近づけてきた。

今日の叶兎くんはメイクと服装のせいか
いつもより大人っぽく見えて、至近距離で見つめられるとつい目を逸らしてしまう。


「ね、胡桃からキスしてよ」

『え、?!』

「そういえば胡桃からされた事ないなって思って」


た、確かに自分からキスしたことはないけど…

したことないからこそ、してって言われると余計に恥ずかしい


「ん」

『え、私まだやるって言ってな…』

「…」


叶兎くんは黙ったまま目を閉じた。私に拒否権はないらしい。

イケメンのキス待ち顔の破壊力やば…と思った


整った鼻筋に長い睫毛、

改めてこう見ると人形みたいに綺麗な顔立ちをしている