『か、叶兎くん落ち着いてっ!私は大丈夫だから…!』
いつにもなく不機嫌オーラ全開で、
今にも朔に殴りかかりそうな勢いの叶兎くん
他人を助ける為の暴力はあっても、
校内では絶対に自分から喧嘩や騒ぎを起こしたりしなかった叶兎くんが珍しく取り乱している
生徒会長とはいえ族の総長やってるだけあるので周囲のざわつきがより一層大きくなって、近くにいた人たちが逃げるように距離を取り始めた
流石にヤバいと思ったのか
春流くんも止めに入ろうとしている
「さっきからくーちゃんくーちゃんうるせぇんだよ、てめぇは胡桃の何なんだ?」
「さあ?当ててみてよ」
「は、舐めてんの?喧嘩売ってんなら買うけど」
既にブチギレてる叶兎くんに追い打ちをかけるように煽る朔
胸ぐらを掴まれているにも関わらず、
全く動じないどころか朔はずっとニコニコしている
一体何を考えてるのだろうか
わざと叶兎くんを煽っているようにしか見えない。
朔、何が目的…?
「僕の喧嘩を買うなら、うちの組織への宣戦布告って受け取るけど?」
「は?何でそんな大きな話に……、待った、お前…」
朔の胸ぐらを掴んだまま、叶兎くんがずいっと顔を近づけた
じーっと顔を見た後
ドンっ、と勢いよく朔を後ろへ押して掴んでいた手を離した。