茶色のふわふわした髪をした、あたしよりも少し背の高い小川くんに視線を合わせて、大急ぎで言い訳をする。

「あの、えっと、それは……好きになってもらえてありがとうございますっていう意味で……」

「……え?」

 みるみるうちに、小川くんの顔が曇る。

 でも言わないわけにはいかない。

 だから言いにくいけど、きちんと自分の気持ちを告げた。

「あの……ごめんなさい。あたし、好きな人がいるんです」

「……っ」

「だから……お付き合いをすることはできません。ごめんなさい」

「…………」

 あたしが言葉を発するたびに、小川くんの表情はどんどん陰っていって、唇をかみしめてうつむいた小川くんは、しまいには放心したようにガックリと肩を落としてうなだれてしまった。

 そんな小川くんの様子が申し訳なくて、

「ごめんなさい」

 と何度も頭を下げる。

「あ、いえ、大丈夫です。気にしないでください」

 しょんぼりと肩を落とした小川くんは、力なく微笑んだ。

「勝手にちょっと期待しちゃったから、その分ショックが大きくて。でも告白できてよかったです。ありがとうございました」