「あーもー。泣き虫」
頭をよしよしと撫でながら、こぼれた涙を指でふく。
「のーあ?返事は?」
頭を撫でたまま、乃愛の顔をのぞきこむと……。
「……はい」
と、震える声を出した乃愛が、コクリと小さくうなずいた。
「あたしも。王河のお嫁さんになりたい」
その瞬間……。
「やべ。超うれしい」
俺は乃愛を、ギュッと強く抱きしめた。
俺の腕の中、乃愛がもぞもぞっと身じろいだ。
「あたしも……。すごくうれしい……」
その声のトーンを不思議に思い、
「ん?」
と短い声を出し、少しだけ体を離す。
すると乃愛は、俺の胸に手を当てて、俺を見あげた。