「え?証拠?」
「そう、証拠。だって俺、10年後に、この指輪を乃愛に渡して言おうと思ってたから」
「え?なにを?」
左手の指輪を見つめたままだった乃愛が、ようやく俺の顔をチラッと見た。
でも、すぐに指輪に目を落としてしまった。
だからじれったくなって、乃愛の頬に手をあて、こちらを向かせた。
こんなセリフは、きちんと乃愛の目を見て言いたい。
「結婚してください」
「え……、王河?」
「俺、ずっと変わらず、乃愛のことを好きでいる自信があったから。乃愛に初めて会ったときから、ずっとずっと大好きだよ。だから、将来は、俺のお嫁さんになってください」
「……王河っ」
乃愛の目に、ぶわわわわ……っと、涙が浮かんだ。