花火も、ここからならよく見える。
まぁ確かに、最初見ることにしていた川原で見るよりは小さいけど。
それでも、こんな穴場に人がいなのは、正直ありがたい。
だって……、
「ごめん。乃愛。ずっと待たせて……。本当にごめん」
こんな風に、素直に、自分の気持ちを口にすることができるから。
「……え?なに?なんで王河が謝るの?」
おどおどと言って、乃愛は心配そうな表情を浮かべた。
そんな乃愛に、俺は、ずっと口にできなかった言葉を言った。
「俺、乃愛のこと大好きだよ」
「……え?」
きょとんと、首を横にかしげる乃愛。
まるで……、聞いたことのない言葉、例えばどこか知らない国の言葉を聞いたような顔。