「あったよ、乃愛っ! あったあった‼」

 思わず大きな声を出してしまった。

 だって、10年ぶりだろ?

 さすがに俺だって、興奮するよ。

 急いで、泥まみれのカプセルを拾い上げる。

「え、あ……。よ、よかったね。王河……」

 状況がわからないなりに、喜んでくれる乃愛。

 本当は、今すぐにでもこれを渡して、種明かしをしたいところだけど。

 この手で乃愛に触れて、汚してしまったら大変だ。

 だからまずは、手を洗わなきゃ。

「乃愛。ちょっと、手を洗ってもいい?」

 あたりを見渡し、水道を見つけて近づく。

 自分の手はもちろん、カプセルもゴシゴシ洗う。

 そして、手とカプセルの両方をハンカチで拭いてから、乃愛を連れてさっきの場所まで戻った。