「なつかし~!!昔もここで花火を見たよね。そのときも王河、こうやってしゃがんでて……」
何かを思い出そうとしている乃愛。
「で、それから……、ふたりの秘密って言ってた。でも、なにが秘密なんだっけ?」
俺の隣にしゃがんで、乃愛は俺の手を見つめた。
「あのあと王河に、『忘れろ』って言われたから。あたし、忘れちゃった。王河の言ったことも。王河がしていたことも」
眉を八の字に下げて、悲しそうな表情を浮かべる。
どこまでも素直な乃愛。
俺もこんな風に素直になりたい。
そう思った瞬間、俺はスコップに手ごたえを感じた。