フルーツゼリーを食べ終えてから、宿題をするためにデスクからだけじゃなくて、スクバの中からも様々な教科書とノートを持ってくる。

 ウチの高校は宿題の量が多いから、テーブルにたくさんの教科書とノートを積み上げ、電子辞書も用意した。

 そしてまずはじめに、宿題の量が一番多い数学の教科書とノートを開いた。

 もちろん、教科書はふたりで見られるように置いたつもり。

 それなのに、王河は左手でラグをポンポンと2回叩いて、こう言った。

「乃愛は、ここ」

「え?」

「俺の隣。じゃなきゃ、勉強がしにくいだろ」

「……っ」

 え? 王河の隣?

 そんなの、ドキドキしすぎて勉強なんかできないよ。

 って、そういえば、あれ?

 今まで一緒に部屋で勉強してたときは、どうしてたっけ?

 やっぱり隣だったっけ?

 そういう時は、いつもドキドキしていたから、記憶があいまい。

 うーんと、どうだったかな?

 今までのことを一生懸命思い出そうとしていると、王河がまたラグをポンポンと2回叩いた。