『感謝しなさいよっ』

 わめくような、乱暴な口調。

 でもそれが、照れ隠しのための“わざと”だとわかってしまった。

『あっ、そうだ。間違っても、あたしの告白に返事なんかしようと思わないでよね』

『…………』

『あたしがアンタを好きだったのは、ほんの一瞬なんだからっ。

 今は全然違うんだからっ!』

『…………』

『間違っても、乃愛には言わないでよね』

『…………』

『さっきのお茶代。口止め料だからね。わかってる!?』

 口を尖らせながら、機関銃のように早口でまくし立てる。

 夏帆って……、ずっと天敵だとばかり思っていたのに、すげーいいヤツ。