そんな気をはった日々の中、誕生日に乃愛が藤城にキスされたって聞いて、思いっきり動揺した。

 そんな自分が嫌で、乃愛のスマホから藤城に電話をした。

 もう早く、いっそのこと乃愛と付き合って。

 あたしにアンタを諦めさせてよ。

 そう思いながらいろいろ言った。

 その後森くんを乃愛に進めたのは、好きって言ってくれる男子の方がいいと思ったから。

 その気持ちにウソはない。

 乃愛が森くんを好きになれば、すべてが丸くおさまるはず。

 だって藤城は、乃愛に好きとは全く言いそうにないから。

 溺愛してるのも大好きなのも、丸わかりなのに。

 なぜか好きっていう言葉だけは言わない。

 そのことにイライラして、書店を出たところで、乃愛の手から電話をとりあげた。