そのために、あたしは父親に頭をさげて、頼んで頼んで頼みまくった。

 そんなことをするあたしは初めてだったから、さすがに父親も折れてくれた。

 そうしてあたしは、念願の、藤代王河と同じ高校に通えることになった。

 でも、人生、うまくいかないもんだね。

 それとも、これが初恋だからかな?

 藤城王河には、大切に想っている女の子がすでにいた。

 それも、ものすごくかわいい女の子。

 櫻川乃愛ちゃんっていう名前。

 南ヶ丘高校の入学式で初めて会ったけど、ふわっふわで、愛らしくて、天使みたいな女の子。

 そりゃあ、こんなかわいい女の子が幼なじみだったら、好きになって当然だよね。

 幼稚園からエスカレーター式の星城学園に通っていたっていう藤城王河が、乃愛ちゃんを追いかけて、同じ高校を受験したって当然だよね。