会社を経営しているパパはけっこう厳しいんだけど、それに対して専業主婦のママは、頭の中がお花畑?っていうぐらいに、甘くて優しい。

 そんなママは、見た目も脳内も夢見る夢子ちゃん状態で、いまだに乙女。

 そんな正反対の両親に育てられたあたしはというと……。

 父親の期待するような優秀な子になんかなれていないし、かといって、母親の望むようなかわいくて素直な女の子でもない。

 そのクセ、人前ではもちろん、友達の前でもかわいい女の子の仮面をつけて、素直で優秀ないい子を演じて、ずっと自分を偽って生きてきた。

 そんな毎日は息苦しくて、生きるのがツラいと感じることもしばしばだった。

 本当は、ヒラヒラしたスカートよりも、カッコいいパンツの方が好きなのに。

 色だって、ピンクよりもブルーの方が好きなのに。

 習い事だって、バレエよりも、野球やサッカーをしたいのに。

 でも、自分の好きなことについて、今まで、誰にも言う事ができなかった。