『俺、カッコいいのが仕事なんで』

「……はっ?なにそれ!? これ言ったのどこの誰? すげーカッコつけじゃない!?気持ち悪いっ!」

 なにげなくつけていたテレビから、ふっと聞こえてきた言葉にすぐさま反応したあたしは、バババッと急いで横のテレビを凝視した。

 もちろん、眉間にシワを寄せることも忘れない。

 そんなあたしの名前は、野々宮夏帆。

 私立のエスカレーター式の女子校に通う、中学3年生。

 ふわふわの女の子らしい洋服と、黒くて長い髪がトレードマークの15歳。

 夏休みで暇を持て余し、ピンクとホワイトとフリルとレースで統一された自分の部屋の中、天蓋つきの姫系ベッドでごろごろしていた。

 そんなときにテレビから流れてきた『俺、カッコいいのが仕事なんで』っていう聞き捨てならないセリフに、あたしは見ていた

 雑誌から目を離し、ベッドに転がったままテレビを見つめた。

 そこに映っていたのは、あたしと同じ年くらいの男の子だった。

 第一印象は、“ムカつくほどキレイな顔”