「乃愛ちゃん知ってた?ここだけのヒミツの話」
「え?何を」
山田くんは、軽井沢で言ってくれたように、学校の廊下ですれ違いざまに声をかけてくれた。
「んー。藤城くんがモデルを始めた理由」
山田くんは窓枠によりかかるようにして、つま先を交差して重ねた。
夏休みの出席日。
当然のように王河はいない。
「え?王河がモデルを始めた理由? 知らないけど……。どうしてそんな話をするの? しかもヒミツって、どういうこと?」
「ふふふ……」
山田くんは意味深に笑って、こう言った。
「やきもちだって」
「え?やきもち?」