こんな顔をするなんて、どうしたのかな?

 首を横に傾けた時、山田くんは言った。

「今日はね、真剣な話。俺が乃愛ちゃんを好きなのは、間違いない。今までこんなに好きになった女の子はいなかったから。でもそれと同時にわかってる。いや、わかってた。

乃愛ちゃんには俺じゃだめだって。だって、乃愛ちゃんの視線はいつでも藤城くんしか見ていないから」

「山田くん……」

「それに、昨日と今日ここに来て、軽井沢に来て、今まで以上に、イヤっていうほど思い知った。乃愛ちゃんには藤城くんが必要だって。悔しいけど、俺じゃだめなんだって。

だから俺、今日今を持って、きっぱり乃愛ちゃんのことは諦めるよ。かといって、友達になりたいわけじゃないから、友達にはならない」

「え?」

 さっき清水くんはお友達になってくれたのなってくれたのに、山田くんはなってくれないのかな?

 もうおしゃべりできなくなるのかな。

 そう思ったら、少し悲しくなった。