つか、乃愛が、俺以外の男と一緒に、泊まりで旅行に行くなんてことは、絶対にあってはいけないんだよ!

 一晩中そんなことを考えていたから、イライラしてよく眠れなかった。

 本当は学校に行くつもりはなかったけど、少しの時間なら学校にいられる。

 そのあとは仕事だけど、その前にその話自体をつぶしてやるよ。

 いつになく熱くなって、買い込んだ材料を持って、乃愛のお母さんに案内されてキッチンに向かった。

「おばさん、ほんとうれしいわぁ~。今日の朝ごはんは王河くんが作ってくれるなんて~♡」

 乃愛のお母さんは、乃愛と一緒でのんびりしている。

「おや、王河くん、おはよう」

 タブレットを小脇に抱えて、乃愛のお父さんがリビングに入ってきた。

「おはようございます。朝早くからお邪魔してすみません」

「いやいや、いつ来てもいいんだよ~。王河くんは、乃愛のお婿さん候補なんだから~」

 乃愛のお父さんも、乃愛と乃愛のお母さんと一緒でのんびりしている。

 昔はよく一緒に朝ご飯を食べていたからか、こんなに朝早くに俺がいてもびっくりしない。

 それどころか、

「王河くんは、エプロンも似合うんだね~。おや、今日は料理でもしてくれるのかな~?」

 と、微笑んでくれた。