「ねぇ」


その時、誰かが私に声をかける。

私はゆっくりと声のする方へ視線を移す。

そこには怖い顔をして仁王立ちで立っている、よく溜まり場に出入りする女の人達がいた。

いつか絡まれるとは思っていたが、よりによって今日かと思った。


「一喜さんと何話してたの?」

「…世間話ですけど」


彼女達は菜穂よりも露出が高い水着を着ていて、明らかに男の人達を誘惑しようという魂胆が見え見えだった。

実際のところさっきまで男の人に囲まれていたのに、いつその場所から離れてここに来たのだろうか。

いや多分、一喜さんが席を外すのを見計らっていたのだろう。


「あんたさ、もしかして隠れビッチ?」

「…え?」


彼女達は私を汚いものでも見るような目で、見下ろして言う。


「カオルに手出しておいて、他のメンバーとも仲良いし、しまいには一喜さんのことも色目使って何のつもり?」


呆れた、ただ話しているだけなのに彼女達には色目使っていると思われるのか。