「――うん。つわりも大分落ち着いて来たから平気。律顕も……その、お仕事……頑張ってね」
一瞬だけ顔を伏せてからニコッと笑顔を作ると、美千花は何でもない事の様に心裏腹な言葉を口にした。
今までちゃんと律顕に気持ちをぶつけてこなかったのが今の事態を招いたのだと分かっていても尚、美千花は本心を律顕にぶつけることが出来ない。
「――それで、もし……」
その事に思い至った美千花は「それで、もし時間が出来たら少しだけでも顔を出して欲しい」と続けようとして。
「ん?」
律顕に見つめられた途端、そんなワガママを言って彼を困らせるのはよくないと思って。「ごめん。忘れちゃった」と誤魔化した。
「美千花……僕は……」
そんな美千花に律顕も何か言いたげに口を開きかけたけれど、美千花が小首を傾げて彼を見上げたら「あ、いや、えっと……無理しないでね」と語尾を濁す。
(本当は何を言おうとしたの?)
美千花はそう疑問に思ったけれど、結局お互い本音が言えないままになってしまった。
一瞬だけ顔を伏せてからニコッと笑顔を作ると、美千花は何でもない事の様に心裏腹な言葉を口にした。
今までちゃんと律顕に気持ちをぶつけてこなかったのが今の事態を招いたのだと分かっていても尚、美千花は本心を律顕にぶつけることが出来ない。
「――それで、もし……」
その事に思い至った美千花は「それで、もし時間が出来たら少しだけでも顔を出して欲しい」と続けようとして。
「ん?」
律顕に見つめられた途端、そんなワガママを言って彼を困らせるのはよくないと思って。「ごめん。忘れちゃった」と誤魔化した。
「美千花……僕は……」
そんな美千花に律顕も何か言いたげに口を開きかけたけれど、美千花が小首を傾げて彼を見上げたら「あ、いや、えっと……無理しないでね」と語尾を濁す。
(本当は何を言おうとしたの?)
美千花はそう疑問に思ったけれど、結局お互い本音が言えないままになってしまった。