座っている椅子の背もたれに体重をかけ、足を組んで高圧的な態度で問いかけてきた山城。


端正な顔立ちの男だが、その眼光は妙に鋭く、暗雲たちこめる夜の空のように不気味に濁っている。いわゆる人殺しの目だ。


下手に刺激すると私も殺されるかもしれない、という恐怖に駆られる。



「妹を刺したのが相当ショックだったのか、しばらくは使い物になりません」

「妹？」

「相川実莉、壱華の義理の妹に当たりますが、我々の計画を邪魔する厄介者です」



龍の逆鱗に触れぬよう、端的に説明をする。彼はしばらく黙ってうつむき、そして顔を上げた。


彼の背後に立っていた側近が、持っていたタブレットから写真を選択して盗撮したと見られる相川実莉の写真をテーブルに置いて差し出した。