なるほど、勘は鋭いらしい。


確かに俺に対しても何らかの疑問を持っているようだった。


ひた隠しにしている俺の本性。まさかそれを察知したのか。


俺の本当の姿を知っているのは家族と光冴、それから荒瀬兄弟だけだ。


天真爛漫で俺を信じ切っている実莉にそれが分かるはずはない。


だから、壱華が俺を疑問視するのは本能的な第六感から来るものなのだろう。



「あっ、ごめんなさい。実莉の何か用?」

「いや、開いているのが気になって覗いてしまっただけだ。覗き見して悪い」

「待って」



頭を下げて部屋を出ると、壱華は俺の後を追って部屋の外に出た。