side 理叶
姉貴の部屋にスマホを忘れたと気が付いたのは午前2時。
合鍵で中に入るとどこからともなくすすり泣く声が聞こえた。
実莉が泣いているのかと思って部屋を覗くと、実莉の部屋で泣いていたのは、帝王の女神と呼ばれる女だった。
冷血で残酷な若頭・荒瀬志勇が異常に執着する女。
頭の切れる実莉の姉でもあるから、どれほど計算高い魔性の女なのか思ったが、実際のところずいぶんおだやかで優しい人柄だった。
義理の姉妹だから似てないのは当然だが。
「……誰?」
気配を消して覗いていたつもりが、壱華は不意に振り返って俺の存在を視認した。
姉貴の部屋にスマホを忘れたと気が付いたのは午前2時。
合鍵で中に入るとどこからともなくすすり泣く声が聞こえた。
実莉が泣いているのかと思って部屋を覗くと、実莉の部屋で泣いていたのは、帝王の女神と呼ばれる女だった。
冷血で残酷な若頭・荒瀬志勇が異常に執着する女。
頭の切れる実莉の姉でもあるから、どれほど計算高い魔性の女なのか思ったが、実際のところずいぶんおだやかで優しい人柄だった。
義理の姉妹だから似てないのは当然だが。
「……誰?」
気配を消して覗いていたつもりが、壱華は不意に振り返って俺の存在を視認した。