「それから、私の身代わりになるように仕向けたの志勇なんでしょ?」

「その件に関しては実莉も同意の上だ」



ここで志勇に対して怒ってる理由が判明した。


壱華、身代わり作戦のことを知っちゃったんだ。


どこから情報が漏れたんだろう。


どんどん壱華のために隠していた秘密が暴かれてオロオロする一方、志勇は事の重大さが分かっていないのか正座させられてるくせに堂々としている。


壱華はその態度に片手で目元を覆って「……はぁぁ」とさらに長いため息をついた。


あーあ、さらに壱華怒らせちゃった。



「わたしを大事にしたいなら実莉を大事にしてって、あれほど口を酸っぱくして言ったのに」

「……その案を出した当初は、壱華を守るためなら利用できるものならなんでも利用してやろうと思っていた」

「信じられない……」

「だが今は違う。壱華を好きになって失うことの恐ろしさを知った。
壱華と実莉の間には切っても切れない強い絆がある。俺はその絆を守りたい」

「志勇……」


守りたいと言ったその目には偽りはなかった。

まっすぐな視線に壱華の瞳が揺らぐ。