たくとのおかげか、その日は久しぶりに幸せな夢を見た気がする。
永遠に夢の世界にいられれば良いのに、
朝を告げる無機質な目覚ましの音は、
容赦なく私を夢の世界から引き戻す。
ただでさえ目立たない、地味な私というキャラに
遅刻という要素まで追加されてしまっては困るので、
私は仕方なくベッドから起き上がった。
朝の支度を済ませて、
「行ってきまーす。」
と、だれもいない家の中に
自分の声を無駄に大きく響かせて私は家を出た。
ちなみに、私は一人っ子で、両親は共働きだから
基本両親と顔を合わせることはない。