僕はサークルには入らなかった。

その代わり友人に誘われて草野球に参加した。

人数は15人くらいのチームだった。

特にレギュラーになりたいとも思わなかったし野球をしたいという考えでもなかった。

たまには運動をしないとという気持ちで参加したのだ。

主にバッターが打った球を拾い、ピッチャーの投球実践練習の球を打つといった内容だ。

僕はみんなと同じ行動をしたくないという条件付きで気が向けば一人でバットを振ったり球を投げたりウォーキングをしたりした。

周囲もそれに関しては何も言わなかった。

練習の参加人数が少しでも多ければそれでいいのだ。

僕は大学で教育を専攻していた。

法律などを覚える暗記が、そもそも暗記自体が得意ではなかった。

しかし勉強とは暗記が必須とされるのだ。

もちろん周りのほとんどが教員を目指していた。

その中で僕はパンフレットを見ただけで暗記が少なさそうな学科を選択したとは言えなかった。

友人も何人かできた。

草野球の友人、地元の友人、高校からの友人と。

彼らは僕よりも真面目に授業を受け、真面目に恋をし、真面目に生活を送っていた。

僕は極力授業をサボらないように努力した。

授業中はメモをとり質問されたことに関しては答えた。

グループディスカッションでは周囲と協力し周りの意見を聞き自分の意見も発言した。

もちろん可愛い女の子がいれば近くの席に座り同じグループになるよう努力もした。

知っている友人がいれば近くの席に座りテスト前にわからないことを教えてもらえるよう仲良くした。

結局のところ僕の大学生活は中身よりも流れの一部に過ぎなかった。

ある日、少人数の授業で外部講師が来ることになった。

その授業は僕の仲の良い友人はいなかった。