振り返ると、藤宮くんがいきなり屈んで私の腰に両手をあてた。

 あまりの驚きと恥ずかしさで、顔が一気に真っ赤になる。


「ちょ、ちょっと!?ど、どこ触って…」


 私が慌てている間にもそのままひょいっと抱きかかえられ、彼の肩へと担がれてしまう。


「なななっ、な!?」


 何が起きているのか脳の理解が全く追い付かず、私はただただ困惑していた。


 ど、どういう状況!?どうして担がれてるの!?


「足、痛いんだろ?仕方ないから保健室まで連れて行ってやる」

「ええっ!いっいいよ!!降ろして!自分で歩けるよ!」

「歩けないからそんなとこに座ってたんだろ」

「うぐっ…で、でも、み、みんな見てるし!」


 リレーの応援に夢中の生徒が多い中、ジュースを買いに行っていた生徒や、次の競技の準備をするために通りかかる生徒は多く、そんな生徒達がちらちらとこちらを見ていく。女子生徒達がきゃーと言う黄色い声を上げている気もする。

 しかし私の抗議も空しく、彼は平然と歩き出す。


「お前が騒ぐからだろ、大人しくしてろ」

「うう…」


 ひとしきり暴れてみたものの全く降ろしてくれる気配がないので、私は大人しく連れて行かれることにした。

 恥ずかしさなのかなんなのか、身体が熱く感じて仕方がない。うるさいくらいに動機もする。


 私は彼の背中に顔をうずめて、早く保健室に着きますように!とそれだけを考え続けた。