沈黙が続く保健室内には、私と隣のベッドの★さんと養護教諭の三人。



授業が始まり静かな室内には、先生がボールペンを滑らす音、服が擦れる音、椅子の軋む音や、私がベッドに寝返る鈍い音が響き渡る。





…と、その時。

ガタッと勢いよく椅子が揺れ動く音と共に、カーテン越しから声が届いた。



「ちょっと職員室に行ってくるから、二人とも静かに寝ていてくれる？すぐ戻って来るから」

「はぁい」
「うィー」



ずっと静かだったから隣の人はてっきり寝ているかと思ってたのに、まさかのハモり返事。
正直驚いた。




カツカツと軽い靴音が遠退き、部屋の扉が閉まった途端、部屋には★さんと私の二人きりになった。





床に置かれているメンズサイズの上履きと、一瞬だけ聞き取れた低い声から分析すると、隣にいる人物は男子と思われる。



いま沈黙した保健室内には男女二人きり。



ベッド間には、それぞれ薄いカーテンが垂れ下がってるだけ。
非常に薄っぺらく頼りにならない境界線だ。



どうしよ。
非常に気まずい。
若い男女二人きりが室内に取り残されてる環境。
先生が戻る前に隣の男に何かされたら…。



私は良からぬ方向へと想像が湧き立たせながら、保健室の殺伐とした空気に心狂わされていた。