セイの存在に気付いた紗南は、団体の方へ勢いよく振り返った。
だが、後ろ姿だけじゃセイの姿が確認出来ない。



視聴覚室に向かう団体。
何も出来ぬまま、ただ後ろ姿を眺めるだけ。



どんなにセイくんに会いたくても、いつも保健室のベッドを囲むカーテンが閉まってるから…。

例え廊下ですれ違っても。

どれくらいの背丈なのか。
どんな顔でどんな風貌なのか。


彼について何も知らないから、残念ながら見つける事が出来ない。





…あっ、そうだ!

星マークが書いてある上履きを足元から見つければいいんだ。

今は校内でセイくんを発見するチャンスなのかもしれない。



紗南は小さな期待に胸を躍らせると、団体の足元へと目線を落とし、一人一人の上履きを目でなぞった。




すると、不揃いに足を進ませる団体の足元から、運良くセイの上履きを発見。

喜ぶあまりに胸を打つ鼓動が早まっていき、目線を足元から上に徐々に辿っていくと。




セイは友達にも大事にされてるかのように、他の男子の中心に囲まれるように歩いていた。


だから、結局セイを見付ける事が出来ても、他の男子の背中に視界が阻まれてしまい後ろ姿しか確認する事が出来なかった。



身長は多分175センチくらい。
茶髪でマッシュヘアー。


紗南はほんの少ししか見る事は出来なかったが、小さな進歩に瞳を潤ませた。