~2015年~
暑い夏の日。
蒸し暑い体育館の中での部活。
N中学1年の私、大松和音(おおまつわおん)はバレー部として朝から練習をしていた。
強豪校であるため練習時間は長いし、内容はキツいし。夏は熱中症になる人も多々。
「暑すぎ!この体育館風入らんし!」
みんな文句も言いつつ、2週間後の大会に向けて練習を頑張っていた。
私はレギュラーメンバーに選ばれていたこともあり、一日中バレーのことでいっぱいだった。
そんな時、彼は私の前に現れた。

部活終わり。
1年生は残って片付けをする。
「今日の帰り、コンビニ寄ろー」
そう声をかけてくれるのは、都愛(とあ)。部活があるなし関係なく、毎日一緒に帰る仲だった。
いつも通り着替えて体育館を出た時だった。
ドンッ!
急に走ってきた人とぶつかった。
ただでさえ暑さと部活の疲れで足が上手く動かない私は、その場に倒れてしまった。
「ごめん!いける?」
そう声をかけてきたのは、汗だくの男の子。名札の色的に2年だろう。
人見知りで男が苦手な私は、何も言わずに友達と歩いていった。

次の日。
部活が休みの日。今日は都愛が学校を休んだため、1人で帰ろうとしていた。
「ちょっ、待って!」
そう声がし、急にリュックを引っ張られた。
振り向くと昨日の先輩。この人常識ないのかな。そんな事を考えながら、不機嫌そうな声で「なんですか」と応える。
「昨日のことまだ怒っとる?気悪くさせてごめん!」