「やっと…見つけた…。俺と、付き合ってくれ。」





「・・・は?」

俺、金時結弦(きんときゆずる)が人生で初めて受けた告白は、男からの…ゴリゴリのヤンキーからのものだった。



















「ゆーずちゃーん、そこの水とって〜」 

「おー、いいけど寝っ転がってないでちゃんと起きて飲めよ、零すといけないからな。」

「ゆず、どうしよう。俺今日お弁当忘れたんだけど。」

「はぁー。(たける)…今日も、だろ?そうだろうとは薄々思ってたけど…しっかりしろよなぁ。はい、(たける)のぶん。」

「おー。あんがと、ゆずの作る弁当マジで美味しいんだよなー。」

「…褒めても何も出ねぇよ。」

「わぁー総長が照れてるー!真っ赤になっちゃって。ゆずちゃんかっわいー。」

「だってほんとのことだろ?ゆずの料理の腕はピカイチだからな。」

「あ゛ーーーーー!二人とも五月蝿い(うるさい)!!てかお前ら!ガッコで俺のこと総長って呼ぶな!」

麗か(うららか)な昼下がりの午後。柔肌を撫でる緩い風、校務員によって整えられた木々は美しい木漏れ日を織り成している。そんな貴族が茶会でも開きそうな学校の中庭で溜まっているのは、第18代目螺禺莫露苦(ラグナロク)幹部、弩級の改造制服をばっちり着こなすヤンキー達だった。

「だってゆずちゃんが総長なのはほんとのことじゃーん。ね、健。」


天羽(あまは) (みなと)。現在高校2年生。元来ふわふわとした癖っ毛は銀にも近い白に染め上げられ、太陽の光を受けた部分がキラキラと光っている。数多の女の子をぐずぐずに溶かしてきた甘いマスクは今はほんわりと緩められリラックスした表情となっている。長い睫毛は垂れ目に沿って並び、その奥に桃色のカラーコンタクトが潤んでいる。

「嗚呼、そうだな。螺禺莫露苦(ラグナロク)を纏められるのはゆずだけだ。」


如月(きさらぎ) (たける)。現在高校2年生。元々地黒だが、水泳部に所属している為更に黒くなり、今は夜歩いたら誰にも気づかれないレベルで黒くなっている。ヤンキーなのに、暴走族幹部なのに部活ガチ勢で部活が入ったとあれば平然と集会もドタキャンするが、何分圧倒的強さを保持している為誰も楯突くことができないのが現状である。漆黒の髪はサラサラ(なびき)、切れ長の目には鋭い光が宿っている。湊と同様カラーコンタクトをしており、シックなボルドーの大人びた色が健の蠱惑的(こわくてき)な雰囲気を助長させている。

「それなぁー…俺、未だ疑問なんだよなー。なんで俺暴走族の総長やってんの?マジで。え、俺総長とかの器じゃなくね?」


金時(きんとき) 結弦(ゆずる)。現在高校2年生。身長180越えという驚異の二人組、(みなと)(たける)に挟まれ肩身の狭い状態が常の身長160代男子。小学生に間違えられることもある程の童顔(どうがん)で、女子顔負けの可愛らしさである。本人はそのことがコンプレックスであるらしく女みたいだとか抜かしたやつは一ヶ月間フルシカトをされる羽目になる。髪は染めておらず、カラーコンタクトもしていないが元々色素薄めな為茶髪茶眼である。そして、何より、彼こそかの巨大暴走族螺禺莫露苦(ラグナロク)のトップ。第18代目総長『光速の金時』である。


西一の暴走族と言われる螺禺莫露苦、そこには狂気と暴力溢れる猛者どもが集まり通る街全てを恐怖と血で染め上げていく…族だった。先代までは。