そんな中、総務部に挨拶に行くと、総務部の部長が俺に紹介してくれたのが森川さんだった。

小ちゃくって可愛くて、俺より年上だなんて思いも寄らなかった。

しかも、俺を見つめて頬を涙が伝わった。

えっ、俺、なんかしちゃったかな。
彼女は「昔のことを思い出しちゃって」と言っていた。

俺は彼女をそのままの状態にはしておけなかった。

そして外に連れ出した。

俺に取って森川さんとは初対面の記憶しかない。

でも、森川さんは俺を知っている感じを受けた。

しかも、連絡先を交換した時、スマホの画面には「優里」の文字があり、森川さんの番号は登録済みだった。

どうしてだ、全く思い出せない。

そして俺と森川さんは会社に戻った。

俺は森川さんを総務部へ送り届けて、社長室へ向かった。

「社長、何をなさっているんですか」

いきなり、雷を落としてきたのは、秘書の阿部だった。

阿部は親父の秘書をしていた凄腕の社員だ。

阿部亮二、四十五歳、独身。