陸はニッコリ微笑んでくれた。

うそみたい、また陸と食事出来るなんて……

「連絡先交換しようか」

「えっ?」

「駄目?」

「大丈夫です」

そして、陸と連絡先の交換をした。

私のスマホには陸の番号が残っていた。

二年間ずっと消す事が出来なかったのである。

陸の番号変わってないんだ。

私は頬の筋肉が緩んだ。

陸は自分のスマホをじっと見つめていた。

どうしたんだろう、私の番号は既に消してあるだろうから、登録すればいいのだが、画面を見て全く手を動かそうとしない。

「どうかしましたか」

「森川さん、下の名前なんて言うの?」

「優里です」

「どんな字?」

「優しい里で優里です」

「そうなんだ」

「はい、あのう……」

俺は城之内陸、親父が突然倒れて城之内建設の社長に就任した。

右も左も分からない状況で、いきなり社長って参った。

社長なんて器じゃないし、どうすりゃいいか戸惑っていた。